インストール
このセクションでは、Citrix Hypervisorのインストール、設定、および初期操作の説明に加え、インストール中に発生する可能性のある問題とそのトラブルシューティング情報、および追加情報の入手方法について説明します。
この情報は、物理サーバー上でCitrix Hypervisorサーバーを設定するシステム管理者を主な対象としています。
Citrix Hypervisorはベアメタルハードウェア上に直接インストールされるため、オペレーティングシステムの介在による複雑さ、オーバーヘッド、およびパフォーマンス上のボトルネックが生じません。デバイスドライバーは、Linuxカーネルで提供されるものが使用されます。このため、幅広いハードウェアデバイスおよびストレージデバイス上でCitrix Hypervisorを実行できます。ただし、認定デバイスドライバーを使用するようにしてください。
詳しくは、『ハードウェア互換性リスト(HCL)(英語)』を参照してください。
重要:
Citrix Hypervisorサーバーは、専用の64ビットx86サーバーにインストールする必要があります。Citrix Hypervisorサーバーとのデュアルブート構成としてほかのオペレーティングシステムをインストールしないでください。この構成はサポートされていません。
はじめに
Citrix Hypervisor 8.2をインストールする場合、 次の要因を考慮してください:
-
どのインストール方法が最適か
-
どのようなシステム要件があるか
インストール方法
Citrix Hypervisor 8.2は、次のいずれかの方法でインストールできます:
- 新規インストール
- Citrix Hypervisor 8.1またはCitrix Hypervisor 8.0への更新として
- サポート対象である旧バージョンのXenServerのアップグレード
既存のバージョンのCitrix HypervisorまたはXenServer | 取得方法: Citrix Hypervisor 8.2 | 使用するISOファイル |
---|---|---|
なし | 新規インストール | 基本インストールISO |
8.1, 8.0 | アップデート | アップデートISO |
7.1 Cumulative Update 2, 7.0 | アップグレード | 基本インストールISO |
注:
アップグレードのサポート対象になるのは、LTSRの最新の累積更新プログラムから行う場合のみです。既存の XenServerのバージョンが7.1または7.1 Cumulative Update 1の場合は、7.1 Cumulative Update 2を適用してからCitrix Hypervisor 8.2にアップグレードします。
アップグレードパスと互換性情報は、『Citrixアップグレードガイド』でも確認できます。
サポート対象外のバージョンのXenServerから直接Citrix Hypervisor 8.2にするアップグレードパスはサポートされていません。その場合は、新規にインストールする必要があります。
新規インストール
Citrix Hypervisor 8.2を新規にインストールする場合:
-
Citrix Hypervisor 8.2基本インストールISOファイルを使用します。このファイルはシトリックスのダウンロードサイトからダウンロードできます。
-
システム要件、Citrix Hypervisorのライセンス管理、Citrix HypervisorとXenCenterのインストールの情報を確認してから、Citrix Hypervisorをインストールします。
アップデート
Citrix Hypervisor 8.1または8.0をCitrix Hypervisor 8.2に更新する場合:
-
Citrix Hypervisor 8.2アップデートISOファイルを使用します。このファイルはシトリックスのダウンロードサイトからダウンロードできます。
アップグレード
XenServer 7.1 Cumulative Update 2または7.0をCitrix Hypervisor 8.2にアップグレードする場合:
-
Citrix Hypervisor 8.2基本インストールISOファイルを使用します。このファイルはシトリックスのダウンロードサイトからダウンロードできます。
-
システム要件および既存バージョンからのアップグレードの情報を確認してから、Citrix Hypervisorをアップグレードします。
インストール済みのCitrix Hypervisorが検出された場合は、アップグレードインストールを実行するためのオプションが表示されます。アップグレードでは、新規インストールと同様の画面が表示されますが、いくつかの手順が省略され、既存のネットワーク設定やシステムの日時設定などは保持されます。
サプリメンタルパック
サプリメンタルパックは、Citrix Hypervisorをインストールした後で、必要に応じてインストールできます。サプリメンタルパック(filename.iso)をコンピューター上の把握しやすい場所にダウンロードして、アップデートと同じ方法でインストールします。
詳しくは、Supplemental Packs and the DDK Guideを参照してください。
Citrix Hypervisorサーバーのインストール
ヒント:
インストール中は、F12キーを押すとすばやく次の画面に進みます。要素間を移動するにはTabキー、選択するにはSpaceまたはEnterキーを押します。ヘルプを表示するにはF1キーを押します。
Citrix Hypervisorサーバーをインストールまたはアップグレードするには、次の手順に従います:
- 保存したいデータをバックアップします。Citrix Hypervisorをインストールすると、インストール時に指定したすべてのハードディスク上のデータが上書きされます。
-
インストールメディアから、またはネットワークブートを使用してコンピューターを起動します:
-
起動可能なUSBからCitrix Hypervisorサーバーをインストールするには:
-
rufus
やdiskpart
などのツールを使用して、Citrix HypervisorインストールISOを使うことで起動可能なUSBを作成します。ツールによりISOファイルの内容が変更されないようにしてください。 - 起動可能なUSBドライブをターゲットシステムに挿入します。
- システムを再起動します。
-
BIOSで、USBからシステムを起動するように設定を変更します。
(起動順序の変更が必要な場合は、コンピューターに付属のドキュメントを参照してください)
-
-
CDからCitrix Hypervisorサーバーをインストールするには:
- Citrix HypervisorのインストールISOファイルをCDに書き込みます。
- 起動可能なCDをターゲットシステムのCD/DVDドライブに挿入します。
- システムを再起動します。
-
BIOSで、CDからシステムを起動するように設定を変更します。
(起動順序の変更が必要な場合は、コンピューターに付属のドキュメントを参照してください)
-
ネットワーク上にTFTPサーバーを起動するようにセットアップするには:
ネットワークを使用してインストーラーを起動するためのTFTPサーバーの設定方法について詳しくは、ネットワークブートによるインストールを参照してください。
-
Citrix HypervisorをSAN上のリモートディスクにインストールしてSANブート環境をセットアップするには:
詳しくは、「SAN環境からの起動」を参照してください。
-
-
起動メッセージおよび[ようこそCitrix Hypervisorへ]画面が表示されます。ここで、インストールに使用するキーマップ(キーボードレイアウト)を選択します。
注:
[システムハードウェア]警告画面が表示され、インストール先コンピューターのCPUがハードウェア仮想化をサポートしている場合は、ハードウェアの製造元でBIOSのアップデートが提供されていないかどうかを確認してください。
-
[ようこそCitrix Hypervisorセットアップへ]画面が表示されます。
Citrix Hypervisorには、最近の多くのサーバーハードウェアをサポートするドライバーが付属しています。ただし、追加のドライバーが提供されている場合は、F9キーを押します。これにより、追加ドライバーをインストールするための手順が表示されます。
警告:
インストールプロセスのこの段階では、ドライバーディスクが含まれたアップデートパッケージのみがインストールされます。ただし、後の段階でサプリメンタルパックを含むアップデートパッケージをインストールするようメッセージが表示されます。
必要なすべてのドライバーのインストールが完了したら、[OK] を選択して続行します。
Citrix Hypervisorは、FCoEからCitrix Hypervisorインストールを起動するように構成できます。F10キーを押し、画面に表示される指示に従ってFCoEを設定します。
注:
FCoEからCitrix Hypervisorサーバーを起動できるようにする前に、LUNをホストに提供するために必要な設定を手動で行ってください。この設定には、ストレージファブリックの設定と、SANのパブリックワールドワイドネーム(PWWN)へのLUNの割り当てが含まれます。この設定を完了した後、使用可能なLUNがSCSIデバイスとしてホストのCNAにマウントされます。これにより、ローカルで接続されているSCSIデバイスのように、SCSIデバイスを使用してLUNにアクセスできるようになります。FCoEをサポートするための物理スイッチおよびアレイの構成について詳しくは、ベンダーが提供するドキュメントを参照してください。
FCoEファブリックの設定にVLAN 0を使用しないでください。Citrix HypervisorサーバーはVLAN 0上のトラフィックを検出できません。
警告:
場合によっては、ソフトウェアFCoEスタックを使用してFCoE SANからCitrix Hypervisorサーバーを起動すると、ホストが応答を停止することがあります。この問題は、ホスト初期化フェーズで一時的にリンクが切断されるために発生します。ホストが長時間応答に失敗する場合は、この問題を回避するためにホストを再起動できます。
-
Citrix Hypervisorのライセンス契約書が表示されます。Page UpキーとPage Downキーを使用してスクロールしながら、契約書を確認します。[ライセンス契約書に同意する] を選択して続行します。
-
適切な操作を選択します。以下のオプションが表示されます:
-
新規インストールの実行
-
Upgrade:インストール済みのCitrix HypervisorまたはXenServerが検出された場合は、アップグレードするためのオプションが表示されます。Citrix Hypervisorサーバーのアップグレードについて詳しくは、「既存バージョンからのアップグレード」を参照してください。
-
Restore:作成済みのバックアップが検出された場合は、そのバックアップからCitrix Hypervisorを復元するためのオプションが表示されます。
選択したら、[OK] を選択して続行します。
-
-
複数のローカルハードディスクがある場合は、インストール用のプライマリディスクを選択し、[OK] を選択します。
-
仮想マシンストレージ用のディスクを選択します。ディスクに関する情報を表示するには、F5キーを押します。
ストレージを有効利用するためにシンプロビジョニングを使用する場合は、[シンプロビジョニングを有効にする]を選択します。これにより、ホストのローカルストレージリポジトリが仮想マシンVDIのローカルキャッシュとして使用されるようになります。Citrix Virtual Desktopsを使用する場合は、ローカルキャッシュが正しく機能するように、このオプションを選択することをお勧めします。詳しくは、ストレージを参照してください。
[OK] を選択します。
-
インストールメディアのソースを選択します。
USBまたはCDからインストールするには、[Local media] を選択します。ネットワークを使用してインストールするには、[HTTP]、[FTP]、または [NFS] を選択します。[OK] を選択して続行します。
[HTTP]、[FTP]、または [NFS] を選択した場合は、Citrix Hypervisorインストールメディアファイルに接続できるようネットワークをセットアップします:
-
コンピューターに複数のNIC(ネットワークインターフェイスカード)がある場合は、Citrix Hypervisorインストールメディアファイルへのアクセスに使用するNICを1つ選択します。[OK] を選択して続行します。
-
DHCPを使用してNICを構成する場合は [Automatic configuration(DHCP)] を選択し、手動でNICを構成する場合は[Static configuration]を選択します。[Static configuration] を選択した場合は、必要なNIC設定を行います。
-
使用するインストールメディアがVLANネットワークにある場合は、VLAN IDを指定します。
-
[HTTP] または [FTP] を選択した場合は、必要に応じて、HTTPまたはFTPリポジトリのURL、ユーザー名、およびパスワードを入力します。
[NFS] を選択した場合は、NFS共有のサーバー名およびパスを入力します。
[OK] を選択して続行します。
-
-
インストールメディアの整合性を検証するかどうかを選択する画面が表示されます。[Verify installation source] を選択すると、パッケージのSHA256のチェックサムが計算され、既知の値と比較されます。この処理には時間がかる場合があります。選択したら、[OK] を選択して続行します。
-
ルートパスワードを設定します。確認のため、同じパスワードを2回入力する必要があります。ここで設定したルートパスワードは、後でXenCenterを使ってこのCitrix Hypervisorサーバーに接続する時に使用します。また、このパスワード(ユーザー名は「root」)は、システム設定コンソールであるxsconsoleにログオンするときにも使用します。
注:
Citrix HypervisorルートパスワードにはASCII文字のみを含める必要があります。
-
プライマリの管理インターフェイスを設定します。このインターフェイスは、XenCenterとこのXenServerホストとの接続で使用されます。
コンピューターに複数のNICがある場合、管理インターフェイスとして使用するNICを選択します。[OK] を選択して続行します。
-
管理インターフェイスとして使用するNICのIPアドレスとして、DHCPを使用するか([Automatic configuration(DHCP)])、特定のアドレスを使用するか([Static configuration])を選択します。VLANネットワーク上で管理インターフェイスを使用するには、VLAN IDを指定します。
注:
リソースプールを構成するCitrix Hypervisorサーバーでは、静的なIPアドレスを設定するか、DNSで正しく名前解決されるように設定しておく必要があります。DHCPを使用する場合は、静的DHCP予約ポリシーが設定されていることを確認してください。
-
ホスト名を設定して、DNS設定を手作業で行うかDHCPを使って自動的に行うかを指定します。
[Hostname Configuration] セクションでは、ホスト名を指定します。[Automatically set via DHCP] を選択すると、IPアドレスだけでなくホスト名がDHCPサーバーから自動的に取得されます。特定のホスト名を指定する場合は、[Manually specify] を選択し、フィールドにサーバーのホスト名を入力します。
注:
特定のホスト名を手動で指定する場合は、完全修飾ドメイン名(FQDN)ではなく、ホスト名のみを入力します。FQDNを入力すると、外部認証に失敗する場合や、Citrix Hypervisorサーバーが別の名前でADに追加される場合があります。
[DNS Configuration] セクションでは、[Automatically set via DHCP] を選択します。これにより、DHCPを使用してネームサービス設定が取得されます。[Manually specify] を選択した場合は、プライマリ(必須)、セカンダリ(オプション)、およびターシャリ(オプション)のDNSサーバーのIPアドレスを入力します。
[OK] を選択して続行します。
-
地理的領域と都市名でタイムゾーンを選択します。この一覧では、対象ロケールの先頭の文字を入力すると、その文字で始まる最初のエントリにカーソルが移動します。[OK] を選択して続行します。
-
XenServerホストのローカルの日時として、NTPによる自動設定または手動設定を選択します。選択したら、[OK] を選択して続行します。
- NTPを使用する場合は、[NTP is configured by my DHCP server] を選択するか、下のフィールドに1つ以上のNTPサーバーの名前またはIPアドレスを入力します。[OK] を選択して続行します。
- 日時設定として[Manual time entry]を選択した場合、インストール中に日時を入力するための画面が表示されます。[OK] を選択して続行します。
注:
Citrix Hypervisor は、サーバーのBIOSの時間設定がUTCの現在時刻であることを想定して動作します。
-
[Install]Citrix Hypervisor を選択します。
インストールプロセスが開始されます。これには数分かかる場合があります。
-
次の画面では、サプリメンタルパックをインストールするかどうかを選択する画面が表示されます。ハードウェアの供給元からサプリメンタルパックが提供されている場合は、[Yes] を選択します。
サプリメンタルパックのインストールを選択した場合、ディスクの挿入を求めるメッセージが表示されます。Citrix Hypervisorのインストールメディアを取り出して、適切なメディアを挿入します。[OK] を選択します。
[Use media] を選択して続行すると、Linux Packまたはサプリメンタルパックのインストールが開始されます。
インストールするパックごとに繰り返します。
-
[Installation Complete] 画面が表示されたら、インストールメディアを取り出して(USBまたはCDからインストールしている場合)、[OK] を選択してサーバーを再起動します。
サーバーが再起動すると、Citrix Hypervisorのシステム設定コンソールであるxsconsoleが表示されます。xsconsoleからローカルシェルにアクセスするには、Alt+F3キーを押します。シェルからxsconsoleに戻るには、Alt+F1キーを押します。
注:
表示されたIPアドレスを控えておきます。このIPアドレスは、XenCenterをCitrix Hypervisorサーバーに接続する時に使用します。
XenCenterのインストール
XenCenterは、Citrix Hypervisorサーバーとネットワークで接続されているWindowsマシン上にインストールします。このシステムに.NET Frameworkバージョン4.6以上がインストールされていることを確認してください。
XenCenterをインストールするには、次の手順に従います:
-
XenCenterの最新バージョンをCitrix Hypervisorダウンロードページからダウンロードしてインストールします。
-
インストーラーの
.msi
ファイルを起動します。 -
インストールウィザードの指示に従って、XenCenterをインストールします(必要な場合はインストール先を変更します)。
XenCenterの使用について詳しくは、XenCenterドキュメントを参照してください。
XenCenterによるCitrix Hypervisorサーバーへの接続
XenCenterを使ってCitrix Hypervisorサーバーに接続するには、次の手順に従います:
-
XenCenterを起動します。XenCenterが起動すると、[ホーム] タブが開きます。
-
[サーバーの追加] アイコンをクリックします。
-
[サーバー] フィールドに、Citrix HypervisorサーバーのIPアドレスを入力します。Citrix Hypervisorのインストール時に設定したルートユーザー名とパスワードを入力します。[追加] をクリックします。
-
ホストを初めてXenCenterに追加すると、[接続状態の保存と復元] ダイアログボックスが開きます。このダイアログボックスでは、ホストの接続情報を保持して、ホスト接続が自動的に復元されるように設定できます。
この設定は、XenCenterまたはWindowsのレジストリエディターを使用して変更できます。
XenCenterでは、[ツール] メニューの [オプション] を選択し、[オプション] ダイアログボックスの[保存と復元] ページで適切な変更を行います。[OK] をクリックして変更を保存します。
Windowsのレジストリエディターを使用してこれを行うには、キー
HKEY_LOCAL_MACHINE\Software\Citrix\XenCenter
に移動し、文字列値true
またはfalse
でAllowCredentialSave
という名前のキーを追加します。