印刷

環境でのプリンター管理には、 以下の複数の段階があります。

  1. 印刷の概念を理解します。
  2. 印刷アーキテクチャを計画します。これには、業務上のニーズや既存の印刷インフラストラクチャについての分析と、ユーザーやアプリケーションが現状でどのように印刷を行っているか、および理想的な印刷管理モデルは何かについての評価が含まれます。
  3. プリンタープロビジョニングの方法を選択し、印刷設計を展開するためのポリシーを作成して印刷環境を構成します。新しい従業員またはサーバーが追加されたときにポリシーを更新します。
  4. 新しい印刷環境を実務環境に展開する前に、その環境をテストします。
  5. プリンタードライバーを管理し、印刷のパフォーマンスを最適化してCitrixの印刷環境を維持します。
  6. 発生する問題をトラブルシューティングします。

印刷の概念

印刷環境の構築を計画する前に、Citrix環境での印刷処理の主な概念について理解しておく必要があります。

  • 使用できるプリンタープロビジョニングの種類
  • 印刷ジョブをどのようにルーティングするか
  • プリンタードライバーの基本的な管理方法

印刷の概念は、Windowsの印刷概念上に構成されています。環境での印刷設定を正しく管理するには、Windowsでのネットワークやクライアント印刷のしくみについて熟知しており、それが実際の環境にどのように適用されるのかを理解する必要があります。

印刷プロセス

この環境では、ユーザーによる印刷はすべてアプリケーションをホストするマシン上で開始されます。印刷ジョブはネットワークプリントサーバーまたはユーザーデバイスを介して印刷装置にリダイレクトされます。

仮想デスクトップやアプリケーションのユーザーに提供されるワークスペースは永続的ではありません。ユーザーのセッションが終了すると、そのユーザーのワークスペースはサーバーから削除されます。このため、各セッションの開始時にすべての設定を再構築する必要があります。この結果、ユーザーが新しいセッションを開始するたびに、ユーザーのワークスペースが再構築されます。

ユーザーが印刷を実行すると、以下の処理が行われます:

  • ユーザーに提供するプリンターを決定します。この処理は、プリンタープロビジョニングと呼ばれます。
  • ユーザーの印刷設定を復元します。
  • セッションのデフォルトプリンターを決定します。

管理者は、プリンタープロビジョニング、印刷ジョブの送信経路、プリンタープロパティの保存、およびプリンタードライバー管理に関するオプションを変更して、上記の処理をカスタマイズできます。これらのオプションの変更によって環境での印刷パフォーマンスやユーザーエクスペリエンスがどのように変化するのかを検証してください。

プリンタープロビジョニング

セッション用のプリンターを準備する処理は、プリンタープロビジョニングと呼ばれます。通常、この処理は動的に行われます。つまり、セッションで提供されるプリンターは事前定義されておらず、非永続的です。プリンターは、セッションへのログオン時または再接続時にポリシーに基づいて構成されます。このため、ポリシー、ユーザーの場所、およびネットワークに基づいて、異なるプリンターをユーザーに提供できます。つまり、ユーザーが別の場所に移動すると、そのユーザーの印刷環境が変更されます。

このCitrix製品の環境では、クライアント側のプリンターが監視され、クライアント側プリンターの追加、削除、および変更に応じてセッションの自動作成プリンターが動的に変更されます。この動的プリンター検出は、さまざまなデバイスを使用するモバイルユーザーにとって便利な機能です。

プリンターのプロビジョニングには、主に以下の方法があります:

  • ユニバーサルプリントサーバー - Citrixユニバーサルプリントサーバーは、ネットワークプリンターでのユニバーサル印刷をサポートします。ユニバーサルプリントサーバーでは、ユニバーサルプリンタードライバーが使用されます。これにより、サーバーOSマシン上の単一のドライバーを使って、任意のデバイスからネットワーク印刷を実行できます。

リモートの印刷サーバーを使う環境では、Citrixユニバーサルプリントサーバーの使用をお勧めします。ユニバーサルプリントサーバーで送信される印刷ジョブは最適化および圧縮されるため、ネットワーク消費を抑えてユーザーエクスペリエンスを向上させることができます。

ユニバーサルプリントサーバーの機能は以下のコンポーネントで構成されます:

クライアントコンポーネント、ユニバーサルプリントクライアント - 各サーバーOSマシンでユニバーサルプリントクライアントを有効にして、セッションネットワークプリンターをプロビジョニングし、ユニバーサルプリントドライバーを使用します。

サーバーコンポーネント、ユニバーサルプリントサーバー - 各プリントサーバーにユニバーサルプリントサーバーをインストールして、セッションネットワークプリンターをプロビジョニングし、(セッションプリンターが一元的にプロビジョニングされているかどうかにかかわらず)セッションプリンターにユニバーサルプリントドライバーを使用します。

ユニバーサルプリントサーバーの要件とセットアップ詳細については、システム要件およびインストールに関する説明を参照してください。

次の図は、ユニバーサルプリントサーバーを使用する環境におけるネットワークベースのプリンターの一般的なワークフローを示しています。

UPSのダイアグラム

Citrix ユニバーサルプリントサーバーを有効にすると、接続されているすべてのネットワークプリンターでユニバーサルプリントサーバーが自動検出されて使用されます。

注: ユニバーサルプリントサーバーはVDI-in-a-Box 5.3でもサポートされます。VDI-in-a-Boxでのユニバーサルプリントサーバーのインストールについて詳しくは、VDI-in-a-Boxのドキュメントを参照してください。

  • 自動作成自動作成とは、各セッションの開始時に自動的に作成されるプリンターを指します。リモートネットワークプリンターとローカルに接続されたクライアントプリンターの両方を自動作成できます。ユーザーあたりのプリンター数が多い環境では、デフォルトのクライアントプリンターだけが自動作成されるように構成することを検討します。自動作成するプリンターの数を最小限にすることで、サーバーOSマシンの負荷(メモリやCPU)を軽減できます。また、これによりユーザーログオン時間も短縮されます。

    以下の項目に基づいてプリンターが自動作成されます:

    • ユーザーデバイス上にインストールされたプリンター。

    • セッションに適用されるポリシー。

      管理者は、自動作成に関するポリシーを設定して、作成されるプリンターの数や種類を制御できます。デフォルトでは、ユーザーデバイス上で設定されているすべてのプリンター(ローカル接続のプリンターおよびネットワークプリンター)が自動作成され、ユーザーに提供されます。

    ユーザーがセッションを終了すると、これらのプリンターは削除されます。

    クライアントプリンターおよびネットワークプリンターの自動作成機能を使用する場合、保守作業が必要です。たとえば、プリンターを追加した場合は以下の設定が必要になります:

    • ポリシーの[セッションプリンター]設定を更新します。
    • ポリシーの[プリンタードライバーのマッピングと互換性]設定ですべてのサーバーOSマシンにドライバーを追加します。

印刷ジョブの送信

印刷経路という語は、印刷ジョブがどのような経路で印刷装置に転送されるのか、および印刷ジョブがどこにスプールされるのかという概念を含んでいます。印刷環境を管理する場合、これらの概念を理解することは重要です。印刷ジョブのルーティング経路はネットワークトラフィックに影響し、スプール場所は印刷ジョブを処理するコンピューターの負荷に影響します。

この環境では、印刷装置への印刷ジョブの転送経路として、クライアント経由とネットワーク上のプリントサーバー経由の2つがあります。これらの転送経路は、「クライアント印刷経路」および「ネットワーク印刷経路」と呼ばれます。デフォルトでどちらの印刷経路が使用されるかは、使用されるプリンターの種類により異なります。

ローカル接続のプリンター

印刷ジョブは、サーバーOSマシンからクライアントに送信され、さらにローカル接続のプリンターに転送されます。この場合、ICAプロトコルにより最適化および圧縮された印刷ジョブがネットワーク上に送信されます。印刷装置がユーザーデバイスにローカルに接続されている場合、印刷ジョブがICA仮想チャネルで転送されます。

ローカル接続プリンターに転送される印刷ジョブの図

ネットワークベースのプリンター

デフォルトでは、サーバーOSマシンからのすべての印刷ジョブがネットワークを介してプリントサーバーに直接転送されます。ただし、以下の状況では印刷ジョブが自動的にICA仮想チャネルで転送されます:

  • 仮想デスクトップまたはアプリケーションがプリントサーバーにアクセスできない場合。
  • プリンター固有のドライバーがサーバーOSマシン上にない場合。

ユニバーサルプリントサーバーが無効な場合、ICA仮想チャネルを介して送信される印刷ジョブは最適化および圧縮されるため、WANなどの狭帯域幅接続で隔たれたサーバーとクライアント間でクライアント印刷経路が使用されるように構成するとネットワークトラフィックへの負担が軽減されます。

また、クライアント印刷経路では、印刷ジョブに割り当てられる帯域幅を制限できます。印刷機能がないシンクライアントなど、ユーザーデバイスを介して印刷ジョブを転送できない場合は、QoS設定でICA/HDXトラフィックを優先させて、セッションで良好なユーザーエクスペリエンスが提供されるように構成してください。

ネットワーク接続プリンターに転送される印刷ジョブの図

プリンタードライバーの管理

Citrixユニバーサルプリンタードライバー(UPD)は、デバイスに依存しないプリンタードライバーで、大部分のプリンターに対して互換性があります。Citrix UPDは、以下の2つのコンポーネントで構成されています:

サーバーコンポーネント。Citrix UPDは、XenAppまたはXenDesktop VDAのインストールの一部としてインストールされます。VDAは、Citrix UPDとともに次のドライバーをインストールします:Citrixユニバーサルプリンター(EMFドライバー)およびCitrix XPSユニバーサルプリンター(XPSドライバー)。

印刷ドライバー

印刷ジョブが開始されると、ドライバーは、エンドポイントデバイスをいっさい変更せずに、アプリケーションの出力を記録して送信します。

クライアントコンポーネント。Citrix UPDは、Citrix Receiverのインストールの一部としてインストールされます。それによって、XenAppまたはXenDesktopセッションの着信する印刷ストリームがフェッチされます。印刷ストリームはローカルの印刷サブシステムに転送され、そこで印刷ジョブがデバイス固有のプリンタードライバーを使用してレンダリングされます。Citrix UPDのほか、Citrix PDFユニバーサルプリンタードライバーを、Citrix Receiver for HTML5およびCitrix Receiver for Chromeとともに別々にインストールできます。

Citrix UPDは次の印刷形式をサポートします:

  • 拡張メタファイル形式(EMF)、デフォルト。EMFは32ビットバージョンのWindows Metafile(WMF)形式です。EMFドライバーは、Windowsベースのクライアントでのみ使用できます。
  • XML Paper Specification(XPS)。XPSドライバーではXMLが使用され、Adobe PDFに似た、プラットフォームに依存しない「電子ペーパー」が作成されます。
  • プリンターコマンド言語(PCL5cおよびPCL4)。PCLは、もともとインクジェットプリンターのためにHewlett-Packardによって開発された印刷プロトコルです。基本的なテキストおよびグラフィックを印刷するために使用され、HP LaserJetおよび複合機で広くサポートされています。
  • PostScript(PS)。PostScriptは、テキストおよびベクターグラフィックスを印刷するために使用できるコンピューター言語です。ドライバーは、低コストのプリンターや複合機で広く使われています。

PCLおよびPSドライバーは、MacやUNIXクライアントなど、非Windowsベースのデバイスを使用する場合に最適です。Citrix UPDがドライバーを使用する順序は、ユニバーサルドライバーの優先度ポリシー設定を使用して変更できます。

Citrix UPD(EMFおよびXPSドライバー)は、ホチキス留めや給紙方法の選択など、詳細なプリンター機能をサポートします。これらの機能は、ネイティブドライバーがMicrosoftの印刷機能テクノロジを使用して利用可能としている場合にのみ、利用できます。ネイティブドライバーでは、印刷機能XMLで、標準化された印刷スキーマキーワードを使用する必要があります。標準化されていないキーワードを使用すると、Citrixのユニバーサルプリンタードライバーでは詳細な印刷機能を使用できなくなります。

次の図は、ユニバーサルプリンタードライバーコンポーネントとデバイスにローカル接続されたプリンターの一般的なワークフローを示しています。

ユニバーサルプリンタードライバーコンポーネントとワークフローの図

プリンタードライバーの管理方法を計画する場合、ユニバーサルプリンタードライバーを使用するか、デバイス固有のドライバーを使用するか、またはその両方を使用するかを決定する必要があります。標準ドライバーをサポートする場合は、以下の点を検討する必要があります:

プリンターの自動作成時に、ユーザーデバイスに接続された新しいローカルプリンターが検出されると、必要なプリンタードライバーについてサーバーOSマシンがチェックされます。デフォルトでは、Windowsネイティブドライバーが使用できない場合は、ユニバーサルプリンタードライバーが使用されます。

正しく印刷するには、サーバーOSマシン上のプリンタードライバーとユーザーデバイス上のドライバーが一致する必要があります。次の図は、クライアント印刷経路でサーバーとクライアント上のプリンタードライバーがどのように使用されるかを示しています。

ローカル接続のプリンターを使用したクライアント印刷経路の図

  • サポートするドライバーの種類。
  • サーバーOSマシンにプリンタードライバーがない場合に自動的にインストールされるように設定するかどうか。
  • プリンタードライバーの互換性リストを作成するかどうか。

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